決戦前夜


彼女は夜中に目を覚ました。
隣りにある筈のぬくもりが無い。
目の前の明るさに目を凝らせば
部屋の襖は開き、
晧晧と月の光が差しこんでいるのだ。
そこに彼女は男の姿を見とめた。
月を見上げて、微動だにしない。

月光が彼の輪郭をなぞり、暗闇にその姿を浮かび上がらせている。
闇に紛れることのない、孤高の存在。
その姿を、彼女は美しいと思った。

ふいに嫌な予感がした。
今度、戦いに出れば彼はもう帰って来ないかもしれない。

もっとも、
彼が自分にとって特別な人だと気付いてからは、
いつも、そう思って不安になるのだけれど。

今夜の満月は特に明るくて、
彼の姿がその光の中に消えてしまうような錯覚をおこす。
それが彼女を不安にさせているのかもしれなかった。

「シロガネ」

呼びかける声は音にならず。
暗闇の中で身を起こす、その気配に気付いて彼はゆっくり振り向いた。
横顔は月光に縁取られ、この世の者ではないような神々しさである。

「すまない。起こしてしまったか?」

彼女は首を横に振ると、裸の体に上掛けを纏い、彼の隣にやって来て腰を下ろした。
この世界に繋ぎ止めようとするかのように
彼の腕に手を回し、肩に顔を埋めて不安を隠す。
彼は、その様子に首を傾げ、そして問う。

「恐ろしい夢でも見たのか…?」

恐ろしいのは夢ではなく、漠然とした予感。
額を肩に押し付けたまま、何度も首を横に振る。
まるで、子供がむずがって厭々するように。

彼は安心させるように彼女の背中を撫でてやると、その頬に唇をおとした。
彼女がおちつくまで、何度も何度も…


空には真円の月。雲ひとつなく。
寄り添う恋人たちを照らし出し、
眩しいほどのその光の中に呑み込んでいく。



決戦の日の前日。
これが、最後の逢瀬になることを
二人はまだ知らなかった…







銀テトムもいいんだけど、
大神が実はテトムの祖父っていう線も有るなあと。
うっかり近親相姦になったらイヤなので保留。
もし、大神が本当にテトムのじいちゃんだったら、この話は「テトム誕生秘話」ってことで(笑)

 


 

 

 

 

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