仮定と検証、そして…


「なんで小沢さんはああもアギトである人間に否定的なんですかね?」
「…氷川さんが『素晴らしい人間に違いない』なんて力説するからですよ。」
「どういうことですか?」
「ヤキモチじゃないですか?ヤキモチ」
「…ヤキモチ…?」
氷川は尾室の言葉を反芻してみたものの、その意味を理解できないでいた。
だから、あまりにも間の抜けた質問が口をついて出る。
「誰が?誰に?どうして?」
「小沢さんが、氷川さんに。氷川さん小沢さんのお気に入りだから。」
尾室はわかりやすいよう、丁寧にひとつひとつ答えを返す。
「はああああ?」
今度こそ、素っ頓狂な声を上げたまま氷川誠の思考は停止したようである。
しばらく動きすらも止めていた氷川だが、突然得心がいったような声をだした。
「あ!あまりにもアギトのかたを持つから、僕が小沢さんよりアギトの方を尊敬してると思ってるってことですか。」
尾室に、というよりは自分に言い聞かせようとしているようである。
「いや、そういうことにしておいても良いんですが…」
「!?そういうことじゃなければ、どういうことだっていうんですか!?」
「どういうことって…」
背の高い氷川に見下ろされるような形で迫られて尾室はたじろいだ。
氷川さん、ニブすぎる!と思ったが彼の剣幕の前では言えるはずもなく。
鈍いというよりは、信じたくないだけなのかもしれないが、と思いなおした。
自分だって、小沢さんにヤキモチ焼かれるようなことがあれば、恐れ多くも慎んで丁重にお断りするところだ。
もっとも、そんな事は天地がひっくり返ったってあり得ないこともわかっている。
しかし、氷川なら…

「そのうち『私とアギトとどっちが好きなの!?』って迫られるかもしれませんよ?小沢さんに。」

尾室にとっては他人事なので、おもしろ半分で言ってみたのだが、
氷川にとってはまさにクリティカルヒット。
晴天の霹靂。

「そ、そ、そんな…明日からどんな顔して小沢さんに会えばいいんですか!?」
「いや、そんな真面目に言われても…」
「こういう事を冗談にするなんて不真面目にするようじゃ警察官として失格です!」

可能性がある、というだけだったのに、
氷川の中ではすでに確信に変わっているらしい。
なんだかもう、アギトどころではなくなっているようだ。

「あ、いけね!俺、親父が上京するんで迎えにいかなくちゃならないんだった!」
そんな氷川に少々不安をおぼえた尾室は見え見えの嘘でその場を辞退してしまった。
「あ、尾室さんっ」
その場には氷川1人が取り残される。

「小沢さんが僕に、ヤキモチ?」

想像もしてなかった。といったら小沢さんに失礼なのだろうが。
とにかく家に帰って、落ち着いてから考えよう。そう思ったとき

「あら、氷川くんまだ残っていたの?」

突然声を掛けられて彼は驚いた。
人の気配に気付かなかったのと、その声の主に。

「お、小沢さん!?なんで!?」
ココロの準備もまだなのに。
「?そんなに驚かせた?ちょっとやりのこしたことがあって戻ってきたのよ。」
「氷川くんこそ、こんな時間まで大変ね。」
「いえ、あの…」
尾室があんなことを言うものだから、意識してしまって頭に血が上ってくるのを感じる。
なのに、体の方は変に緊張してイヤな汗をかいているのだ。
「どうしたの、氷川くん。なんか様子が変よ?」
「い、いえ!なんでもありませんから!」
そう言いながらも、顔が青くなったり赤くなったりめまぐるしい。
「?でも本当に。顔色も悪いし…」
小沢は手を伸ばして氷川の額にかざしてみる。
手が触れた瞬間、彼は硬直した。
それはもう、初恋の小学生のように。
その様子に気付くことなく、彼女は続ける。
「熱はないようだけど。無理しないで早く帰って休みなさい。」

…熱なら今でた。

「はい…そうします…」


嘘から出た真。
どうしよう、意識しすぎて小沢さんに惚れてしまいそうだ…
でも、それも悪くない。

きっとそれは少し幸せな予感………かも?

 



なんて言うんですかね。
思いの外ラブラブ路線まっしぐらというか(苦笑)

 


 

 

 

 

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