約束の歌


ガオゴッドはその身体をオルグマスターに乗っ取られていた。
そのガオゴットをガオハンターが後ろから羽交い締めにして動きを封じる。
しかし、ガオレンジャー達はガオゴットに手を出せるはずもなく。

「1000年の友よ。俺も黄泉まで付き合おう。」

そう言うと、シルバーは
ガオハンターごとガオゴットの胸を貫いた。
ゴットアニマル達は脱落し、徐々にかたちを失っていく。
ガオゴットが跡形もなく崩れ落ちると、そこには、自ら胸のコクピットを貫いたままガオハンターだけが立ちつくしていた。
しかしそれもつかの間。
ハンターも突如として形を失い、跡には割れた宝珠と胸を血で染めたシルバーが残されていた。


「シルバー!」

すぐにテトムが駆け寄る。
胸の傷口はかろうじて心臓までは達していないようだが、出血がひどい。
彼を抱きおこそうとした彼女の胸元を真っ赤に染めていく。
傷を塞ごうと、彼女はスカートを裂いてきつく巻きつけたが、それが気休めにしかならない事は明らかだった。

「しっかりして!シルバー」

その声にわずかながら反応があった。

「お願い、目を開けて…」

わずかな望みを託して懇願する。

「…テトム…?」

不意に、掠れた声が答えた。

「シルバー」

彼は遠くなっていく意識の片隅でその声を聞いていた。
自分の名を呼ぶ、聞きなれた巫女の声。
その心地良い響きに身を委ね、そのまま楽になってしまいたいと思ったが、
最期の力をふりしぼって目を開けた。
するとそこには必死の形相で彼をのぞき込むテトムの顔。
彼と目が合うと、彼女は表情を和らげた。
普段は気丈な彼女だが、今はその目にうっすらと涙をにじませている。

「良かった…気が付いて…」

それだけ言って声を詰まらせた。

「無事だったか、テトム。今度こそ、俺はガオディアスとの約束を守れたようだな。」
そうして、彼女を見て微笑む。
「ええ、私は大丈夫。また2人でガオディアスに歌を聞かせに行きましょう。」
「だから…」
彼女はその続きを口にすることができなかった。
再び目を閉じてしまった彼の体から力が抜け、徐々に体温が下がっていくのがわかる。

「シルバー!」

彼の名を呼ぶ。
何度も何度も。

しかし閉じられた目が再び開くことはなかった…

彼の亡骸を抱いたまま泣き崩れる彼女のその腕の中、
封じられていた1000年の年月が一気に押し寄せたのだろう、彼の体はガオゴットと同じように風化し、塵となって彼女の腕からこぼれ落ちていく。

「…そんな!!」

後に残った物はガオジャケットと、先ほどまで彼を形作っていたはずのわずかばかりの塵。
そして、彼がいつも吹いていた横笛。

その笛を彼の血で染まった胸に抱き、テトムはいつまでも泣き続けていた…

******




オルグのいなくなった世界で、天空島の草原を風がわたる。

日課だったガオディアスとの約束の場所にテトムは毎朝足をはこぶ。
時間になれば彼が現れるのではないか、と、そんな淡い期待をだいて。
そうして佇んで1日の大半を無為に過ごす。
埋めようのないない喪失感が彼女を支配していた。

「あなたのガオディアスとの約束は歌を守ることじゃなかったの?」

彼の形代である横笛を胸に抱いて、そう宙に問えば、
草原を渡る風が彼女の頬を撫で髪を弄る。

「アカペラじゃ歌えないのに。」

「あなたの笛がなければ歌なんて歌えない…」

枯れたと思っていた涙が再び彼女の頬をつたい胸元をぬらした。


「約束なんて、全然守れてないじゃないの!うそつき…うそつき!」





そうやって座り込んだままどれほどの時間がたった頃だろう、
彼女のよく知っている旋律が風に乗って流れてきた。
でも、それは彼女の知らない楽器の音色で。
不思議に思って辺りを見まわすとブルースハープを奏でる男の姿。

「イエロー…」

「ウクレレじゃ歌いにくいだろうと思ってな。これ。」

そう言って、今まで吹いていたブルースハープを掲げて見せた。
そして静かに見つめているテトムの元へ歩み寄る。


「歌なら俺が守ってやる。横笛じゃなきゃダメだって言うんだったこれからおぼえる。だから…」
そこで一旦言葉を切る。


「だから、ここへ来て1人で泣くな。」


「イエロー」
テトムはすぐ隣に立った男を見上げた。
1番長い時間を、一緒に戦ってきたガオイーグルの戦士。
彼は、しゃがみこんで彼女と目線を合わせる。
「みんな心配してるぞ。」
1番心配しているのは彼自身だったのだが。
「アイツだって…元気のないテトムなんて見たくないと思ってるはずだぜ。」
テトムが彼を見かえす。
少しだけ、以前の彼女に戻ったような顔をしている。
先ほどまでの弱々しい様子ではない。
「…そう…そう、ね。」
「な?」

そう彼女に笑ってみせて、彼は再びブルースハープを吹き始めた。

…時を渡る祈りのなかで約束は果たされる…



この話、もとネタは去年見た夢でした。
前半の銀テト部分だけですけど。
後半も銀テトでいこうかと思っていたんだけど、
簡単に生き返るのはどうかと思ってさ。
…本編見たらそんなことを考えたのがバカらしくなったけど(苦笑)
6人目の戦士は死ぬ運命らしいと聞いていたのでこんな夢を見たものと思われます。
結局シルバー死ななかったけどね(苦笑)

そんなわけで、完全にパラレル最終回です(笑)

 

 


 

 

 

 

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