After The Night

 

 

 

あたたかい…

 

冴え冴えとした空気にさらされていた背中が何かに包まれたのを未沙は夢うつつに感じた。
その何かの気配を追って意識こらすと、
閉じたまぶた越しにもまわりの明るさがわかった。もう朝なのだ。

「うん…あ!」

「目、覚めた?」

自分が何に包まれていたのか彼女はすぐに気付いた。
同時に昨夜何があったのかを思い出して自然と頬が染まる。
温もりと声の主を確認しようと顔を上げると彼女を見つめる悪戯な瞳と目が合った。

「輝…」

その瞬間、彼女を抱きとめていた腕に力がこもる。
押し寄せる圧倒的な安心感。
少しためらってから未沙は彼に寄り添うと胸に手をあてた。


生きてる…
どくどくと脈打つ鼓動と体温が心地よかった。
自分たちの置かれた状況はあまりにも絶望的で何ひとつ変わっていないというのに、
今、一人じゃないと信じられることが心強い。
たった一晩のことなのに、これほど気持ちが変化するなんて奇跡のようだ。
今までの人生で最も満ち足りた時間が流れているような気がする。

 

だから…
はじめそれは彼の心臓の音と自分の早すぎる血流の音が共鳴して
聞こえているのだろうと思ったのだ。
低く響く音楽のようなその音に未沙はうっとりと目を閉じて耳をすませた。

「…何か…音がしないか?」

「え…」

輝の言葉に未沙はハッと顔を上げた。
自分たちの鼓動の音じゃない…?
輝が神妙な面持ちで聴覚に意識を集中させている。
その表情を頼もしく感じている自分を未沙は意識した。

「ほら、やっぱりする。」

言うが早いか、輝は飛び起きると外に駆け出した。
未沙も慌てて寝乱れた髪と服を整えながら後に続く。

「また動き出すのかしら。」

「いや、この音は空からだ。」

「空?」

そうして二人は空を見上げた。
まだ早朝の、朝靄が立ちこめる空に巨大な影が映っている。
よく親しんだ見慣れた影

「あ!」

「マクロス!!」

助かった!
この一ヶ月の間に見てきた地球の惨状を考えれば真に助かったとは言い難いが、それでも。
とりあえず自分たちは助かったのだ。
嬉しさに感極まった未沙が思い切り輝に抱きついた。
輝は少しばかり面食らったものの、
以前の関係では想像もしなかった彼女の素直な行動に、
心を許した者の親密さを感じて笑みをもらす。
どちらともなく視線を絡ませれば、自然と唇が重なった。
喜びを分かち合うように。

でも。と、名残り惜しげに唇を離しながら輝は思う。
マクロスがきたことは賭け値無く嬉しい。
よかった!助かった!とたしかに安堵した。
だけど、二人だけのこの生活を惜しむ気持ちがあるのも事実で。
肩を抱く未沙の喜び晴々とした表情を見ながら、輝は少しばかりさびしさを感じていた。

 

 

輝くんはマクロスに戻れなくても、なんとかやっていくつもりだったように思います。
意外とタフというか図太いというか。
恋愛というか対人方面がグダグダで内向的な印象受けるけど。
後の告白で未沙に「一緒にいて欲しい」と言ってるけど
どっちかというと「一緒にいてあげたい」と思ったんじゃないかなあ。

 

 

 

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